2020東京五輪では、東京ビッグサイトが国際放送センター、メインプレスセンターとして使用される計画です。このため、まず2019年4月からビッグサイトの東ホールが閉鎖(20ヵ月)されます。つづいて2020年4月から五輪終了後の10月まで西ホールも含めて完全閉鎖されます。
代替会場として東京テレポート駅付近に2.3万㎡の仮設会場が造られますが、2ホール程度の広さなので大規模イベントは開催できません。つまり2019年の夏コミ・冬コミは現状のままだと西ホールのみの縮小開催になる可能性が高いと思われます。そして2020年の夏コミは五輪とぶつからないように8月を避けても、ビッグサイトが4月~10月まで使用できませんので春コミや冬コミとかぶってしまいます。日本で2番目に広い幕張メッセも五輪競技で使用されるので、東京テレポート駅の仮設会場くらいしか候補はありません。現時点では30%以下の広さでの縮小開催しか選択肢が見当たりません。
ほんとうに、このままでいいんですか!? イベントが縮小されると、サークルさんの販売機会が面積に比例して失われ、新刊を待っている買い手の方は楽しみを奪われます。コミケ3回分という点ではなく、20ヵ月という連続した期間で影響を受けます。会場がダメなら通販でしのげるいという考えもありますが、残念ながら同人誌は即売会という臨場感のある現場が重要なので、イベントがなくなれば発行意欲も減退すると思います。
新刊の発行機会が激減すれば、中小零細が多い同人誌印刷会社や、同人誌書店にも大きな影響があります。財務的な体力のない会社は淘汰されてしまいます。つまり同人誌を発行するインフラが弱体化してしまいます。言うまでもなく、生計の一部とされているサークルさんにとっても重大な問題です。
けっして大袈裟に煽っているわけではありません。イベントの開催方針は最終的には各主催者が決めることですので、私たち同人誌印刷会社はその結果を受け入れるしかありませんが、一連の事情は、『コミケPlus Vol.6』でも6Pに渡る記事として掲載されています。ぜひご覧ください。
これは、同人誌業界だけの問題ではありません。フル稼働している現場を失えば、展示会で商談を行っている数万の出展企業に20ヵ月に渡り販売機会損失の大きな影響を与えます。
では、なぜ問題にならないのか
問題にならない理由は、3~4年先の話だからです。支障が出るのが2019年のイベント開催からなので、それを申し込む時期が2年前の2017年。年が明けると、イベントが従来通り開催できないという問題が少しずつ形になります。2020年の予定を組む2018年になって、いよいよ主要イベントが相次ぎ縮小開催や開催断念ということになるので社会問題化するはずです。つまり開催困難な事態が確定するのは2017~2018年なので、まだ問題は発生していないことになります。
その時では問題解決には間に合わないと、手遅れになってしまします。そもそも、展示会やイベントでフル稼働しているビッグサイトを五輪に使用すると誰が決めたのでしょうか?
問題の根っこは築地移転問題と同じで、それ以上に深刻
2013年1月に東京2020オリパラ招致委員会がIOCに立候補ファイルを提出しました。この立候補ファイルの中で「ビッグサイトをメディア施設として使用する」と記載しています。2012年の段階で招致委員会が作成した計画に記載されていることが決定事項となり実行されようとしています。
「築地移転問題と同じか、それ以上」というのは、計画が検討される段階でビッグサイト利用者にヒアリングはなく、かつ五輪で占有する代替会場の準備はありません。つまりビッグサイト問題には代替地の「豊洲」にあたるものすらありません。
国内最大で首都圏にあり最も利便性が高いフル稼働状態の展示会場を、1995年開場以来の利用者を差し置いて、数週間のスポーツイベントのために20ヵ月使用制限しようとしています。しかも代替会場の準備なしに強行するのは、「五輪ならなんでも許される」という一昔前の理論のままです。
※この立候補ファイルは今でも閲覧可能です。いま話題になっている有明アリーナ176億円、海の森水上競技場69億円(2012年日本円)と確かに記載されています。立候補ファイルの8,000億円が1兆8,000億円に膨張しているのは最近の報道のとおりです。この根拠のない立候補ファイルのために私たちは苦しめられようとしています。
1月20日 東京都産業労働局へ8.1万件の署名を提出
私たちの署名サイトで集めた4.8万件の署名への責任があるので、日本展示会協会へ提出先とその時期について問い合わせしました。日展協も新都知事が決まり、陳情の申し入れを11月に行っています。やっと回答があり新年1月20日に日展協分も合わせた8.1万件の署名提出(陳情)となりました。残念ながら小池都知事が自らは受けとられず、担当部局へ提出するようにとの指示です。「小池都知事」宛の署名として届けられます。
小池知事は10/29「池袋ハロウィンコスプレフェス2016」のオープニング・セレモニーに参加し、わざわざ『リボンの騎士』のコスプレ姿で登壇したうえで、「アニメ、マンガはクールジャパンの代表格。東京五輪ではスポーツのみならず、サブカルを含めた日本の文化を発信していきたい」と挨拶しました。
都知事選の最中にも、同様の発言をされています。選挙のための表面的な人気取りの発言だったのか、サブカルチャーへの本物の理解者なのかが問われます。特に東京都民の皆さんには、小池知事の本件への対応をシッカリと見届けていただきたいと思います。
2016/10/29 小池都知事「リボンの騎士」に
ハロウィーンイベントでコスプレ(共同通信)
賛同していただける方はオンライン署名をお願いしたい!
残された時間は限られてきました。1月20日提出に向けて、もうひと頑張りしようと思います。微力で、小さな一歩だとしても皆さんにお願いできることは、署名を集めることです。署名をお願いする行為は同時に、問題を広める効果があります。(2017/1/20に8.1万件の署名を提出。10万件を目指し継続中)
オンライン署名には年齢制限はありません。問題があると考えられる方なら、何歳でも構いません。東京都に提出しますので厳正に管理され、署名名簿から本人を探して詮索するようなことも一切ありません。
2019-2020会場問題特設サイト http://2020event.tokyo/
【解決策は1、か2 】
1、メディア施設用の仮設会場を作り、もともとの利用者に展示会場を取り戻す
2、ビッグサイト同等の5~8万㎡の仮設会場を展示会用に作る
※本記事の呼びかけは、同人誌関係者に向けたものですが、署名活動は同人誌業界だけのものではありません。全産業のイベントや展示会に影響がある重要な問題なので日本展示会協会と連携して行っています。